今回の小生の手記は「ニュージーランドの法制度」についての疑問です。
小生の第三回のコラム「日本の常識 世界の非常識」について反響がありましたので今回はその事について詳しく説明いたします。
すでに皆様はご存知だと思いますが、私が販売したクライストチャーチのゴルフ場の残金請求裁判が結審し、残金を請求する事を却下する判決が下りました。私は未だにこの事が疑問に残りNZのマスコミの方に以下の事を尋ねようと考えております。
この手記をご覧の皆様方も中立な立場でお考えいただければと思い今回のテーマにしました。
このNZでは地裁・高裁・提訴法廷(一般には最高裁)と言う制度があり、文明国と同じ法制度のもとで行われていると全世界の人が理解していると思います。私もウエリントンで行われる提訴法廷の上に枢密院裁判があるとは思ってもいませんでした。
私は1991年日本で病に倒れ会社をリタイアする事になり、このNZに全財産を持ってきました。そして、クライストチャーチに世界的なゴルフ場を作る事を夢見て大金を投じゴルフ場の建設計画に投資いたしました。しかし、私は外国人であるがゆえNZでの許可の問題で長引き資金的な行き詰まりを感じ、すでに申請済みの許可が数ヵ月後に下りるのを目前にしてカンタベリーゴルフに売却をせざるを得なくなりました。
現在私が売却したゴルフ場は「クリアウォーターゴルフ場」と名乗っております。買い手は私の足元を見、私が今まで投資した三分の一の価格で購入したいと言ってきました。それも私が申請している許可が取れたら残金を払うと言う条件付でした。
全ての条件が完了し、残金を請求したときCGIは支払いを拒否し、今回の永い裁判になりました。ロンドンにおいて逆転敗訴と言う事になり、私は大きな疑問を持っております。
NZは国連を初め世界の会議には独立国家として参加しております。又、通貨もポンドではなく、NZドルと言う自国の通貨と為替レートがあります。私はNZと言う独立国家に投資を致しました。現在NZに投資している外国人は全てその様に考え、投資していると思います。けしてイギリスに投資しているとは思っていないでしょう!
そのNZで起こった紛争をNZでNZ人の手で最後の審判を行う事は当然の事だと考えることは外国人であれば誰でも思うことです。 もし、最後の審判をイギリスで行うのであれば首都ウエリントンで行う提訴法廷は必要なく、高等裁判所からロンドンに行くことが筋だと考えます。
昨今NZの提訴法廷で全面勝訴した判決がロンドンでの簡単な審判によりことごとく覆されております。この事は裏を返せばイギリスはNZの法制度を完全に否定する物であり、又NZの提訴法廷の判事がNZの地域に密着した判決を出した事を否定する物であり、提訴法廷の判事の能力をも否定する物ではないでしょうか?
この様な情況が長く続けば提訴法廷の判事は判決を出すのにあたり公正な判断は出来ないと考えます。又、詐欺師等の知能犯によって巧妙に作られた犯罪もイギリスまで行けば判決が覆される事になり、ロンドンの法制度を悪用する事になるでしょう。
今回の私の事件も提訴法廷の判決文を読んでいただければ分かっていただけると思いますが、提訴法廷裁判所の判事全員はこの契約にあたり、買い手が詐欺行為をし 売り手を欺いた事を明確にそして公正な判断に基き判決を出しました。この判決が出た時にクライストチャーチの新聞社などはこの判決に対し一定の評価を下しております。私もNZにおいて世界に通用する公正な判決が出たと思いました。
しかしながらロンドンで行われた枢密院裁判ではわずか1日、しかも短い時間で評決を出し、逆転敗訴の決定を下しました。提訴法廷の判事殿は6ヶ月間に渡りこの問題を審議し、各方面にわたり色々な情報を収集した結果今までのイギリスで決められた規則を現在の環境に合わせた公正な判断をもって判決を下しました。
それに対し、イギリスの枢密院法廷は規則の遵守と言う基に、提訴法廷の全判事が長い時間をかけ41ページに渡る判決文を一蹴しました。一部の発展途上国を除き文明国家では法律の制定と言う物は厳格な考えの基に施行され、公正な判断の基に執行されなければいけないものです。
ロンドンは「契約前の交渉の証拠は契約の意味を確認する為に受け付けない」と言う規則の基に提訴法廷のトーマス裁判長の判決を一蹴いたしました。枢密院法廷判決の28の最終判決で判事が「当法廷は6.3条の初期の説明を解釈する努力をする事は役に立つ事とは思われない。何故ならばそれは削除され現在の6.3条に置き換えられているからだ。何故、変更が行われたかを想像するのは意味が無い。疑いなく会社双方は一方が提案し、他方が受け入れた理由があったはずである。法廷が出来る全ては最終契約の意味がなんであったかを決める事である。」その事は提訴判決のトーマス判事が長い時間をかけて判決文の中で説明している事を完全に否定している物であります。
トーマス判事は一方が提案し、他方は明確に拒否し契約書から削除したと判決文で述べております。しかし、考えてみてください。殺人犯の裁判においてもその判決にあたっては殺人にいたる動機や経緯があります。裁判官はその事を考慮に入れその判決において公正な判決を下します。
ロンドンの言う規則に基き、殺人と言う最終結果しか見ない判決であれば殺人犯は全て死刑となるでしょう。今回の契約にいたるまでのありとあらゆる証拠を提訴法廷の全裁判官は公正な判断をする為に採用し、買い手のCGIが詐欺的行為によって売り手を欺いたことを見抜きました。
枢密院裁判の判決を読む限りでは買い手のCGIは条件の中に12ヶ月の取得期限や全てのリソースコンセントが取得できたらと書く変わりに、簡単にリソースコンセントが取れたら残金を支払うと書かれていたとしても、枢密院裁判の判事の考えるリソースコンセントの解釈の仕方では何時までたってもリソースコンセントは取得できないと言う解釈になります。と言う事は、売り手は買い手がリソースコンセント主張しつづける限り残金は支払ってもらえない事になります。
契約において売り手は契約後のリソースコンセントを予測した危険な契約を結ぶ事はありません。このことからこの契約が最初から売り手を欺く為に作為的に巧妙に作られた契約だと思います。その事を提訴法廷のトーマス判事は見抜き、判決文の中で切実と訴え続けてくれました。
そこで私は貴新聞社に対し、私がお持ちした全ての資料を冷静に判断していただき、この問題が今後のNZに投資を求めて来る外国人に対しても一石を投じていただけるよう記事にして頂きたいと思っております。2000年12月には有る新聞社によってこの枢密院制度が近じか廃止されると言う記事が掲載されております。公正な判断をする裁判所であれば何の問題も無いのですが、今回の裁判で私が感じた事はロンドンにおいては5人の判事によって短時間で審理が行われました。
が、その中にNZ提訴法廷の判事が一人おり、その判事は最初から最後までNZ提訴法廷の下した判決に対し意義を申しており、何も知らない残りの4人の判事に対し自分の意見を強引に主張しておりました。私は他の弁護士にその事を話しますとその判事は判決を出したトーマス裁判長とライバル関係に有るとの事でした。
私はロンドンの裁判に何故ウエリントンの提訴法廷の判事が出席し、そして提訴法廷の出した判決を覆す主張をするのか理解に苦しみました。このことが許されるのであれば前にも話しました様にウエリントンの提訴法廷そのものをわざわざ否定しにNZからイギリスに行っているように思えます。
これを機会に文明国家・独立国家NZが公正な法制度のもとに法律を執行されることを願っております。是非編集長様にはこのことを全ての国民に問いかけて下さるようお願いいたします。
参考資料をお持ちしますのでご覧下さい。
すでに判決が下りておりますが、私はこれは不当判決だと思っております。私は5年にわたる長い戦いとそれに伴う裁判費用や弁護士費用等の出費の為財産を失う事になりました。被告のハワードパターソンは北島一番の大金持ちで立派なゴルフ場も完成しております。
彼はこの裁判を博打でありゲームだといつも言っておりました。私のようなリタイアした一個人がここまで財産をつぎ込んでこの戦いを進めてきたのも正義を信じ、このNZが文明国家であり、又 全ての国籍の人達に対し平等な扱いをしてくれると考えたからであります。NZ国民は国民の生命及び財産に関する大事な最終審判をイギリスのイギリス人によって行う事をいまだに許しております。
そういう国民にとって一番大事な事をイギリスに任せるのであれば何故イギリスが自国のパスポートの発行をNZ人に与えないのか?理解に苦しみます。私はこのイギリスで行う枢密院裁判制度を今後も続けるのであればNZはイギリス政府に対しイギリスのパスポートを要求し、二重国籍を容認すべきだと考えます。
以上の事が今回私がテーマにしたNZの法制度の疑問です。
皆様方はどうお考えでしょうか?
ご意見お待ちしております。
次に第三回コラムの中で話が出ました田原徹は7月末日を持ってナショナルオーストラリア銀行を退職する事になりました。ナショナルオーストラリア銀行の適切なる判断と行動は歓迎したいと思います。